計測工学

誤差の種類(系統誤差・偶然誤差・過失誤差)について解説

化学や物理の実験などをしていると、必ず目にする言葉「誤差」

今回は、そんな誤差についての話です

具体的には、誤差の意味と誤差の種類について解説していきます

 

実験に誤差はつきもの

実験や測定で得られた値は、測定器やまわりの状況によって信頼度が異なります

目盛りを読むのが人間だと、人的ミスも生じる可能性もありますし、人によって目盛りの読み方の癖もあります

実験で様々なデータを取るときには、絶対に正しい値が得られるわけではありません

目盛りの一番細かい値よりも精密には読み取れませんし、実験を行う人によっても値がずれるため、実験で得られた値には、必ず真の値との差が生じています

この真の値との差を誤差といい、実験ではこの誤差をどこまで減らせるか、そしてどこまで許容するかを考えなければなりません

 

誤差の種類

誤差には大きく分けて3つの種類があり、その原因によって分類されています

ちなみに以下のものは定義ではありません

先生や教授の考え方や専攻分野によって、解釈が異なる場合もあります

 

系統誤差

系統誤差は、誤差が生じる原因が明らかであり、測定の結果に対して、誤差の傾向や大きさが、一定の条件によって生じる規則的な誤差であるから、定誤差ともいわれます

細かく分けると以下の3つがあります

理論誤差

理論による誤差のことです

たとえば、xが十分小さいとき、sin(x)=xのように近似すると、その計算で得た値には近似した分の誤差が生じています

器械誤差

器械の特性から生じる誤差のことです

器械の狂い、キャリブレーションがしっかり行われていないなどがあります

キャリブレーションの実施などの改善策があります

個人誤差

実験を行う人、目盛りを読む人のクセや性質などから生じる人的な誤差のことです

目盛りを大きめに読む人だと得られる値が大きくなる、小さめに読む人だと得られる値が小さくなるなどがあります

訓練によって無くすようにするのが一番ですが、複数人でデータを読むことで誤差を小さくするなどの工夫ができます

 

偶然誤差

偶然誤差は、原因が明らかではなく、取り除くことができず、毎回生じる誤差が異なります

例えば、周囲の環境(温度・湿度・気圧)などによって生じる誤差などは完全に取り除くことはできません

測定を繰り返し行って平均値をとるなどして、推定値の精度を上げることで、誤差を小さくすることは可能です

 

過失誤差

測定者の不注意による誤差のことです

目盛りの読み違い、記入ミスなどがあります

絶対に無くさなければなりません

 

 

追記:この分類は古いやり方

記事作成後に知ったのですが、この分類方法は1993年以前の方法らしいです

1993年に、計測に関わる主要な7国際機関からの共同出版で"Guide to the Expression of Uncertainty in Measurement(計測における不確かさの表現ガイド)が発表されていたようです

「系統誤差」が「誤差」であり、「偶然誤差」は「不確かさ」としましょうというような方針ですね

amazonに「計測における不確かさの表現ガイド」の日本語訳された書籍がありましたが、レビューによると翻訳がひどいらしく、読みにくいようです
めちゃくちゃ言われてます
(https://amzn.to/39OhkBY)

ちなみに、私は大学で1993年以前の分類方法を習いました。変更された話はされなかったので、全く知りませんでした

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