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大学数学

【余因子展開】4×4行列、5×5行列の行列式の求め方を解説

前の記事では1×1、2×2、3×3行列の行列式の求め方について解説しました。

サラスの規則とは?行列式の求め方を解説

これらの行列は「サラスの規則」を使えば簡単に行列式を求めることができました。
しかし、サラスの規則は4×4以上の行列には使えません。

今回はそんな4×4以上の行列の行列式の求め方を解説していきます。

余因子展開で行列式を求める

次のような4×4の行列式Aがあったとします。$$A = \left[\begin{array}{rrrr} a_{11} & a_{12} & a_{13} & a_{14}\\ a_{21} & a_{22} & a_{23} & a_{24}\\ a_{31} & a_{32} & a_{33} & a_{34}\\ a_{41} & a_{42} & a_{43} & a_{44}\end{array} \right]$$

正方行列Aのi行とj列を取り除いた行列に(-1)^(i+j)をかけたものを行列Aの「(i,j)余因子」といいます。これをAijとするとAの行列式は

$$|A| = a_{i1}A_{i1} + a_{i2}A_{i2} + a_{i3}A_{i3}+……+a_{in}A_{in}(i = 1,2,…,n)$$

または

$$|A| = a_{1j}A_{1j} + a_{2j}A_{2j} + a_{3j}A_{3j}+……+a_{nj}A_{nj}(j = 1,2,…,n)$$

となります。
1つ目を「第i行についての余因子展開」、2つ目を「第j行についての余因子展開」といいます。

これに従って行列Aを第1列について余因子展開すると

$$A = a_{11}\begin{vmatrix} a_{22} & a_{23} & a_{24}\\ a_{32} & a_{33} & a_{34} \\ a_{42} & a_{43} & a_{44}\end{vmatrix}  - a_{21}\begin{vmatrix} a_{12} & a_{13} & a_{14}\\ a_{32} & a_{33} & a_{34} \\ a_{42} & a_{43} & a_{44}\end{vmatrix}  + a_{31}\begin{vmatrix} a_{12} & a_{13} & a_{14}\\ a_{22} & a_{23} & a_{24} \\ a_{42} & a_{43} & a_{44}\end{vmatrix} - a_{41}\begin{vmatrix} a_{12} & a_{13} & a_{14}\\ a_{22} & a_{23} & a_{24} \\ a_{32} & a_{33} & a_{34}\end{vmatrix} $$

となります。

また第1行について余因子展開すると

$$|A| = a_{11}\begin{vmatrix} a_{22} & a_{23} & a_{24}\\ a_{32} & a_{33} & a_{34} \\ a_{42} & a_{43} & a_{44}\end{vmatrix} - a_{12}\begin{vmatrix} a_{21} & a_{23} & a_{24}\\ a_{31} & a_{33} & a_{34} \\ a_{41} & a_{43} & a_{44}\end{vmatrix} + a_{13}\begin{vmatrix} a_{21} & a_{22} & a_{24}\\ a_{31} & a_{32} & a_{34} \\ a_{41} & a_{42} & a_{44}\end{vmatrix}  - a_{14}\begin{vmatrix} a_{21} & a_{22} & a_{23}\\ a_{31} & a_{32} & a_{33} \\ a_{41} & a_{42} & a_{43}\end{vmatrix}$$

となります。

これで行列式|A|は3×3の行列式になりました。3×3ではサラスの規則が使えるので行列式を求めることができます。

5×5以上の行列式も同様に行います。
5×5の行列式ではどこかの列か行で余因子展開をすると4×4の行列式になります。そしてもう一回どこかの列か行かで余因子展開をすると3×3の行列式になります。3×3ではサラスの規則が使えるので行列式を求めることができます。

基準にする行または列は自由に選んで大丈夫です。できるだけ計算が簡単になるようなものを選ぶことをおすすめします。

それでは練習問題で演習してみましょう。

練習問題

(1)次の行列Aの行列式を求めよ。$$A = \left[\begin{array}{rrrr} 2 & 1 & 3 & 1\\ 0 & 1 & 4 & 2\\ 1 & 2 & 1 & 4\\ 3 & 1 & 2 & 1\end{array} \right]$$
(2)次の行列Bの行列式を求めよ。$$B = \left[\begin{array}{rrrrr} 3 & 1 & 2 & 4 & 5\\ 3 & 0 & 3 & 2 & 3\\ 1 & 1 & 5 & 2 & 3\\ 1 & 2 & 0 & 5 & 2\\ 4 & 1 & 3 & 2 & 1\end{array} \right]$$

【解答】
(1)行列の要素に0が含まれている場合、0が含まれる行または列を基準に選ぶと計算が楽になります。ここでは第1列について余因子展開をします。

$$|A| = 2\begin{vmatrix} 1 & 4 & 2\\ 2 & 1 & 4 \\ 1 & 2 & 1\end{vmatrix} - 0\begin{vmatrix} 1 & 3 & 1\\ 2 & 1 & 4 \\ 1 & 2 & 1\end{vmatrix}  + 1\begin{vmatrix} 1 & 3 & 1\\ 1 & 4 & 2 \\ 1 & 2 & 1\end{vmatrix} - 3\begin{vmatrix} 1 & 3 & 1\\ 1 & 4 & 2 \\ 2 & 1 & 4\end{vmatrix} $$

これで3×3の行列式になったのでサラスの規則より行列式は$$|A| = 14 - 0 + 1 - 21 = -6$$となります。

(2)これも行列の要素に0が含まれているので0が含まれる行または列を基準に選ぶと計算が楽になります。
ここでは第2列について余因子展開をします。

$$|B| = -1\begin{vmatrix} 3 & 3 & 2 & 3\\ 1 & 5 & 2 & 3\\ 1 & 0 & 5 & 2\\ 4 & 3 & 2 & 1\end{vmatrix} -1\begin{vmatrix} 3 & 2 & 4 & 5\\ 3 & 3 & 2 & 3\\ 1 & 0 & 5 & 2\\ 4 & 3 & 2 & 1\end{vmatrix} +2\begin{vmatrix} 3 & 2 & 4 & 5\\ 3 & 3 & 2 & 3\\ 1 & 5 & 2 & 3\\ 4 & 3 & 2 & 1\end{vmatrix} -1\begin{vmatrix} 3 & 2 & 4 & 5\\ 3 & 3 & 2 & 3\\ 1 & 5 & 2 & 3\\ 1 & 0 & 5 & 3\end{vmatrix} $$

これで4×4の行列式になりました。同様に4×4の行列式に対してもそれぞれ余因子展開をしてそれぞれの行列式の値を求め、3×3の行列式にします。サラスの規則より行列Bの行列式は

$$|B| = -1*(-134) -1*(-43) +2*(-60) -1*(-98) = 155$$

となります。(4×4の行列式の計算過程は省略しました。)

おまけ

練習問題を解いてみて「0が多く含まれる行または列を選択すると計算が楽になる」ということが分かったと思います。
これを利用するために行列式の性質を使えばもっと簡単に計算することができます。
行列式では「行または列を定数倍して他の行または列に加えても行列式の値は変わらない」という性質があります。
これを利用して練習問題の(1)、(2)を解いてみます。

(1)第2列を-1倍して第4列に加えると$$|A| = \begin{vmatrix} 2 & 1 & 3 & 0\\ 0 & 1 & 4 & 1\\ 1 & 2 & 1 & 2\\ 3 & 1 & 2 & 0\end{vmatrix}$$第4列に0が2つ存在するので第4列について余因子展開をすると

$$|A| = + 1\begin{vmatrix} 2 & 1 & 3\\ 1 & 2 & 1 \\ 3 & 1 & 2\end{vmatrix} - 2\begin{vmatrix} 2 & 1 & 3\\ 0 & 1 & 4 \\ 3 & 1 & 2\end{vmatrix} = - 8 - 2*(-1) = -6$$

となります。

(2)第3行を-1倍して第2行に加えると$$|B| = \begin{vmatrix} 3 & 1 & 2 & 4 & 5\\ 2 & -1 & -2 & 0 & 0\\ 1 & 1 & 5 & 2 & 3\\ 1 & 2 & 0 & 5 & 2\\ 4 & 1 & 3 & 2 & 1\end{vmatrix}$$第2行を第1行に加えると$$|B| = \begin{vmatrix} 5 & 0 & 0 & 4 & 5\\ 2 & -1 & -2 & 0 & 0\\ 1 & 1 & 5 & 2 & 3\\ 1 & 2 & 0 & 5 & 2\\ 4 & 1 & 3 & 2 & 1\end{vmatrix}$$さらに第5列を-1倍して第1列に加えると$$|B| = \begin{vmatrix} 0 & 0 & 0 & 4 & 5\\ 2 & -1 & -2 & 0 & 0\\ -2 & 1 & 5 & 2 & 3\\ -1 & 2 & 0 & 5 & 2\\ 3 & 1 & 3 & 2 & 1\end{vmatrix}$$第1行に0が3つ存在するので第1行について余因子展開すると

$$|B| = -4\begin{vmatrix} 2 & -1 & -2 & 0\\ -2 & 1 & 5 & 3\\ -1 & 2 & 0 & 2\\ 3 & 1 & 3 & 1\end{vmatrix} +5\begin{vmatrix} 2 & -1 & -2 & 0\\ -2 & 1 & 5 & 2\\ -1 & 2 & 0 & 5\\ 3 & 1 & 3 & 2\end{vmatrix} = -4*90 + 5*103 = 155$$

となります。(4×4の行列式の計算過程は省略しました。)

0の要素を増やすことにより計算が簡単になったことがわかると思います。

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