制御工学の基礎知識であるブロック線図について説明します
ブロック線図とは
システムなどの信号の伝達を表すための方法として、ブロック線図というものがあります
以下にブロック線図の例を示します
制御系を構成する要素を四角枠(ブロック)で囲み、要素間に出入りする信号を矢印(線)で、信号の加え合わせ点を〇、信号の引き出し点を●で示しています
信号は矢印方向にしか影響を与えません
ブロック線図により、信号の流れや要素が可視化され、システムの流れが理解しやすくなるというメリットがあります
簡単化の方法
ブロック線図を簡単化することで、入力と出力の関係が分かりやすくなります
簡単化の方法は、結合の種類によって異なります
直列結合
ブロック線図の要素が直列結合の場合、要素を掛け合わせることで1つにまとめられます
変換前
変換後
並列結合
ブロック線図の要素が並列結合の場合、要素を足し合わせることで1つにまとめられます
変換前
変換後
ここまでは簡単ですね
次から少しややこしくなります
フィードバック結合
フィードバック結合の場合は以下のようにまとめることができます
変換前
変換後
加え合わせ点の移動
次の2つは等価交換です
上の図ではY=GU+GX、下の図ではY=G(U+X)となっており一致していることがわかると思います
引き出し点の移動
次の2つも同様に等価交換です
例題
ここまで述べた直列結合、並列結合、フィードバック結合、引き出し点と加え合わせ点の移動の特性を使って、ブロック線図の簡単化をすることができます
ぜひ例題を解いてみてください
【例題】次のブロック線図を簡単化し、得られる式を答えなさい
【解答】
まず加え合わせ点の位置を変えます
次に直列結合の部分をまとめます
次にフィードバック結合の部分をまとめます
さらに加え合わせ点の位置を変えて
簡単化ができました
最後に得られる式は
$$Y = \frac{AC}{1+BCD}X + \frac{BC}{1+BCD}U$$
となります
まとめ
今回はブロック線図の簡単化について解説しました
複雑なブロック線図でも直列結合、並列結合、フィードバック結合、引き出し点と加え合わせ点の移動の特性を使って簡単化をすることができます
一度慣れれば難しくはないので、それぞれの特性をよく理解しておくことが重要だと思います