次のような式を「1階線形常微分方程式」といいます。
$$y' + P(x)y = Q(x)$$
今回はこのような微分方程式の解法について3つ述べます。
(この記事ではdy/dx=y'として記述しています)
解の公式
基本的な求め方です。
1階線形常微分方程式の解の公式は以下の通りです。
Cは任意定数です。
公式を正しく覚えれば一番早く正確な方法です。
欠点としては符号など公式を覚えること自体が大変です。
定数変化法
ここでは例として
$$y' + y = sinx$$
という微分方程式について考えます。
流れとしてはまず、微分方程式の右辺(sinx)を0にして
$$y' + y = 0$$
を解きます。
移項して両辺にdxをかけると
$$ dy/y = -dx$$
となり両辺をxで積分すると
$$log|y| = -x + C_1$$
より
$$y = Ce^{-x}$$
を求めることができます。
次に一般解を以下のように仮定します。
$$y = u(x)e^{-x}$$
先ほど求めた解の任意定数を関数u(x)と変えたものです。
また、y = u(x)e^(-x)を微分すると
$$y' = u'(x)e^{-x} - u(x)e^{-x}$$
となるのでこれらをもとの微分方程式に代入すると
となります。これを整理すると
$$u'(x) = sinxe^{x}$$
となります。部分積分法で積分すると
$$u(x) = \frac{1}{2}e^{x}(sinx - cosx) + C$$
となります。
よって一般解は
$$y = \frac{1}{2}(sinx - cosx) + Ce^{-x}$$
となります。
ラプラス変換
ここでは微分方程式
$$y' + y = sin3x$$
について考えます。
y(0) = 1のようにyの初期値が与えられている場合のみ使えるやり方です。
ここではラプラス変換についての詳しい内容については説明しません。やり方のみ書きます。
ラプラス変換の対応表はこちらの記事にあります。
対応表を見るとラプラス変換より
$$y(x) → Y(s)$$
$$y'(x) → sY(s) - y(0)$$
$$sin3x → \frac{3}{s^2 + 9}$$
$$cos3x → \frac{s}{s^2 + 9}$$
$$e^x → \frac{1}{s-1}$$
となっていることがわかると思います。
これらを使って解いていきます。
y' + y = sin3xをラプラス変換すると
$$sY(s) - y(0) + Y(s) = \frac{3}{s^{2} + 9}$$
となります。
初期値(y(0)) = 1として整理すると
$$Y(s) = \frac{1}{s+1}+\frac{3}{(s+1)(s^{2}+9)}$$
$$= \frac{s^{2} + 12}{(s+1)(s^{2}+9)}$$
これを部分分数分解すると
となります。
これを逆ラプラス変換すると
となり答えを求めることができます。
ラプラス変換を初めて聞いた方には馴染みがなく面倒なようにも見えますが、初期値が与えられているときには解の公式や定数変化法よりも早く解くことができるので、よく使う関数のラプラス変換の対応表は覚えておいても損はないと思います。
まとめ
覚えられるなら解の公式を覚えるのが一番早いと思います。
覚えるのが苦痛であれば定数変化法、初期値が与えられているのならばラプラス変換、と状況によって使い分けられるといいと思います。