この記事では、制御工学の概要や学ぶ意味について簡単に説明します
制御工学とは?制御とは?
日本工業規格では、制御は次のように定義されています
「ある目的に適合するように、対象となっているものに所要の操作を行うこと」
くだけた言い方をすると「対象を思い通りに動かすこと」とも言えます
制御工学は、制御に関する学問、簡単に言うと「機械を思い通りに動かすための学問」です
自動車や航空機、燃料射出機などから社会システムまで様々なものが制御の対象であり、応用分野は多岐にわたります
ですので、様々な分野の技術者にとって、共通の基礎科目と言っても過言ではないでしょう
自動制御と手動制御
制御は「手動制御」と「自動制御」の2つに分類できます
手動制御は「システムに対して行う操作・調整を人間が介在して行うこと」と定義されています
例えば、バーベキューなどで火起こしをしたときに、風を送り込んだり、燃料を追加したりしますよね
この行動は、「火の大きさを人間が調整している」と考えることができるので、手動制御となります
反対に、自動制御は「システムに対して行う操作・調整を人間が介在しないで行うこと」ということになります
例えば、エアコンで部屋の温度を調整するとき、人間が行うのは温度の数値を入力することだけです
エアコンはその温度になるように、外の空気の中の空気を入れ替えてくれます
この場合は、「エアコンが部屋の温度を調整している」と考えることができるので、自動制御になります
制御工学の歴史
人類は、今日までに様々な機械を生み出して、制御してきました
初期のものは手動制御のみのものでしたが、近年では自動制御に注目が集まっています
最初の自動制御は産業革命時のJames.Wattの蒸気機関の遠心調速機だと言われています
以下に図を示します
蒸気機関の回転速度が低下すると、調速機のおもりに働く遠心力が弱くなり、おもりはだんだんと内側になっていきます
すると、スリーブが下に下がり、レバーによって蒸気弁が開きます
蒸気弁が開くと蒸気の供給量が増加するので、回転速度は上昇します
反対に、蒸気機関の回転速度が上昇すると、調速機のおもりに働く遠心力が強くなり、おもりはだんだんと外側になっていきます
すると、スリーブが上に上がり、レバーによって蒸気弁が閉じます
蒸気弁が閉じると蒸気の供給量が減少するので、回転速度は低下します
以上のように、一定の速度で蒸気機関が回転するように調整されています
制御工学を学ぶ意味
制御工学はシステムを設計するときに必要になります
設計というものはいきなり始めるのではなく、理論に基づいてしなければなりません
入力に対して、適当な応答をするように、外乱が加わっても致命的な影響を受けないように、など様々なことを考えて設計します
そのような知識を付けるために制御工学を学びます
自動制御の歴史は古いですが、現在では本当に様々なものに自動制御が使われており、人工知能などの技術によって今も成長を続けています
制御工学を学ぶことでそれらの技術に近づける
そういうことを考えるとワクワクしてきませんか?
【参考】
https://www1.stratus.com/jp/stratus-blog/automatic-control-commentary-relationship-artificial-intelligence-edge-computing/
https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/engineering/department/mech/laboratories/a/seigyo.html