高校物理などをやってきた方は以下のような式を見たことがあると思います。
$$mg = G\frac{mM}{R^2}$$
「地表付近の質量mの物体にはたらく重力は、この物体にはたらく万有引力に等しい」というものです。
この式を使って地球を周回する物体の速度などを求めることができます。
ここでよくある勘違いが
「重力と万有引力って同じものなんだ!」
というものです。
でも実は重力≠万有引力なのです。
今回はそのことについて解説していきます。
万有引力と重力の違い
万有引力とは、すべての質量物体同士が引き合う力のことです。
人と人との間にも万有引力は存在しますが、人の重さ程度では認識することができません、地球くらいの規模になって初めて万有引力を感じることができます。
地球と人との間にはたらく万有引力によって人は地球上に立っていますが、地球は自転しているので遠心力もはたらいています。
遠心力によって人が宇宙空間に投げ出されないのは、地球と人との間にはたらく万有引力が自転による遠心力よりもとても大きいからです。
人が地球と引き合う力は万有引力と遠心力の合力になります、これを重力といいます。
(ここでは人を例にしましたが、質量物体であれば同じです)
なぜ「万有引力=重力」と教わったのか
地球の質量が大きすぎるため、質量物体にはたらく遠心力は、地球と地球上にある質量物体の間にはたらく万有引力に対してとても微少だからです。
なので特に注意がない場合は、万有引力=重力で問題を解いて構いません。
余談:重力は場所によって異なる
遠心力Fは以下の式で表せるので、回転半径が大きくなるほど遠心力は大きくなります。
$$F=mrω^2$$
赤道付近などでは回転半径が大きいため、遠心力が大きくなりますが、北極点付近などでは回転半径が小さいため、遠心力が小さくなります。
よって、赤道付近では大きな遠心力によって重力は小さくなりますが、北極点付近などでは遠心力が小さいため、重力は赤道付近などよりも大きくなります。