過去から現在までの入力の履歴で、現在の出力の値が決まるシステムを動的システムと呼びます
動的システムに入力を加えたとき、出力は時間により変化します。この時間変化の様子を時間応答と呼びます
入力と出力の関係が時間により変化するため、動的システムは微分方程式で表されます
システムによって入力に対する応答は異なりますので、扱いたいシステムが入力に対してどのように応答するのかを知ることが求められます
この記事では、動的システムの応答を求めるための手順を説明します
手順一覧
微分方程式の形で与えられた動的システムの応答を求める手順は、以下の通りになります
1.ラプラス変換表を参考に、与えられた微分方程式をラプラス変換します
2.出力信号\(Y(s)\)を求めるために、\(伝達関数G(s) = \frac{出力信号Y(s)}{入力信号U(s)}\)の式を使って
$$Y(s) = G(s)U(s)$$
のような形を作ります
3.入力信号の種類から\(U(s)\)を決定します
例:インパルス入力であれば、\(U(s) = 1\)、単位ステップ入力であれば\(U(s) = \frac{1}{s}\)のようになります
4.\(Y(s)\)を逆ラプラス変換して\(y(t)\)を求めます
$$y(t) = \mathcal{L^{-1}}[Y(s)] = \mathcal{L^{-1}}[G(s)U(s)]$$
ラプラス変換表にない形の場合は、部分分数分解などにより式を変形します
例題
では、1~4の手順で実際に解いてみます
以下のような微分方程式で表される動的システムのインディシャル応答を求めよ。ただし、出力\(y(t)\)の初期値\(y(0) = 0\)とする
$$\dot{y} = -4y(t)+2u(t)$$
1.ラプラス変換表を参考に、与えられた微分方程式をラプラス変換すると
$$sY(s) - y(0) = -4Y(s) + 2U(s)$$
2.\(Y(s) = G(s)U(s)\)の形を作ると
$$Y(s) = \frac{2}{s+4}U(s)\cdots ①$$
のようになります
3.求めるのがインディシャル応答であるから、入力は単位ステップ入力になるので
$$U(s) = \frac{1}{s}$$
4.手順3より、①は
$$Y(s) = \frac{2}{s(s+4)}$$
となります
このままでは逆ラプラス変換ができないので、部分分数分解をします
$$\begin{align*}
\frac{2}{s(s+4)} &= \frac{A}{s} + \frac{B}{s+4}~~~両辺にs(s+4)をかけて\\
2 &= (A+B)s + 4A~~~これが恒等式であるから\\
A &= \frac{1}{2}~,~B = -\frac{1}{2}~~~となる
\end{align*}$$
よって、インディシャル応答\(y(t)\)は
$$\begin{align*}
y(t)
&= \mathcal{L^{-1}}[Y(s)]\\
&=\mathcal{L^{-1}}[G(s)U(s)]\\
&= \mathcal{L^{-1}}[\frac{2}{s(s+4)}]\\
&= \mathcal{L^{-1}}[\frac{1}{2s} - \frac{1}{2(s+4)}]\\
&= \frac{1}{2} - \frac{1}{2}e^{-4t}
\end{align*}$$
のように求められました
※インディシャル応答についての説明はこちらの記事に詳しく書いています
まとめ
動的システムの応答を求めるための手順
1.与えられた微分方程式をラプラス変換
2.\(Y(s) = G(s)U(s)\)の形に式を整理する
3.入力信号の種類から\(U(s)\)を決定
4.\(Y(s)\)を逆ラプラス変換して\(y(t)\)を求める